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2005年10月28日
【高島宏平:1/2】 おいしさを共有して収益性向上を
スーパーの野菜売り場に〝生産者の顔〟がお仕着せのように貼り付けられる一方で、
生産現場からは「消費者が見えない」といった声を耳にする。
両者の溝を埋めようと農産物流通にインターネットを持ち込み、
急成長している企業がオイシックスだ。
生産と消費の距離をいかに越えるか。
差別化のヒントはどこに隠されているのか。
ITベンチャーから食品業界に飛び込んだ高島宏平社長が語った。
オイシックス社長
高島宏平
たかしまこうへい
プロフィール
1973年生まれ。神奈川県出身。
東京大学大学院工学系研究科在籍中に㈲コーヘイを設立し、
大学院修了と同時に外資系コンサルティング会社マッキンゼー東京支社入社。
退職後の2000年オイシックスを設立。
自社の安全基準をクリアした食品を、
インターネットを通じて宅配するビジネスを急成長させている。
今年度の売上高は28億円の見込み。
http://www.oisix.com
――2000年のオイシックスの立ち上げてから今まで、食の世界をどのように見てきましたか?
高島●食の世界を見回すと、まず食べる人と作る人の距離を感じます。
その距離が遠いがために、ものすごくもったいないことが起きている。
私たちの会社とお取引いただいている農家さんは、
有機栽培や特別栽培に取り組み、通常よりも努力や苦労を重ねておられます。
しかし、お客様との距離が遠いと、せっかくの努力も非効率になりかねません。
何に向けて頑張っているのかが問題になるわけです。
例えば味です。
ナスの農家を訪ねると、どなたも「うちのナスは日本一」とおっしゃいますよね。
ただし、隣のナス農家さんのナスを食べたことはありますかと質問すると、
「食べたことがない」。
では、スーパーで買って食べたことは?と聞けば、
「ないよ。だって買う必要ないだろ」と言われたりします。
確かに農家なのだから、買って食べる必要はないんですが、
その人の「日本一」とは、そのぐらい強い思いで作っているということなんですよね。
――その「おいしさ」には根拠がないということですか?
高島●根拠がないことが問題ではありません。
むしろ、おいしさを定義する難しさを私は感じています。
果菜や果物なら、甘みや硬さといった基準が比較的はっきりしていますが、
葉物となると、農家さんによって目指す味はかなり違います。
私たちは農家さんに集まってもらって、
目隠し試食をしてもらったりもしますが、
レタスなどは味の評価がバラバラです。
皆さん、おいしいレタスを作ろうと努力しているはずなのに、
何がおいしいレタスなのかが曖昧だったりする。
実際、せっかく愛情を込めて一生懸命作っていても、
その味がお客様の望む味と一致しないケースは多々見受けられます。
それが非常にもったいないんです。
――作るためにかけた手間とコストが生かされていないのですね?
高島●そうですね。その意味で言いますと、当社には、
取り扱っている商品についてお客様からの忌憚のない声が寄せられます。
それぞれの意見はかなり具体的ですので、
食品ごとの求められる味は何かが、ある程度わかってきています。
そんな「おいしさの姿」を農家さんと共有したい。
同じ苦労をするなら、そこに向かって苦労をしていただく。
そうすれば、お客様に喜んでいただけますし、我々もありがたいのです。
私は、努力する生産者はもっと収入を得るべきだと考えています。
しかし、おいしいかどうかを決めるのは、私たちの先にいるお客様ですので、
農業経営はそこを意識すべきです。
売り上げを拡大するためには、大量に売るか、
高く売るか、コストを下げるかですよね。
お客様が望むものを作るという部分を強めれば、
もっとたくさん売れるはずだし、
ファンがつけば、我々も高い値段でたくさん購入できます。
生産の努力が収益性につながっていくのです。
――「顧客を見ること」は、従来の農業で最も欠けていた点でもありました。
高島●大事なのは、「おいしさ」は採れた時ではなく、
お客様に届く時点で判断されるということです。
私たちのビジネスは通信販売ですが、
できるだけ産地で味わえる感動に近い感動を食卓に届けようとしています。
在庫は抱えず、お客様から注文を受けた後、
契約農家さんへの連絡、収穫、発送、仕分けと進み、
通常、注文から3日から1週間で品物が届くような形をとっていますが、
やはり、収穫のタイミングや梱包によってかなり評価が違ってきます。
分かりやすい例は、追熟するタイプの商品ですね。
小売店に出荷する場合は、熟れすぎを避けるために早めに収穫するのでしょうが、
通販用には通販用のタイミングがあります。
スーパーや農協への出荷とは異なるタイミング、
お届け日に追熟が完成するように収穫してもらうだけで、
お客様の満足度がかなり上がってきます。
(つづく)
(構成・秋山基)
投稿者 eooo01 : 2005年10月28日 12:47